STRATOS

Interview 「STRATOS 村山司」

文・構成:飯島貴志 写真:大隅圭介  Oct. 2015

今日の訪問先は”STRATOS”ブランドで競輪自転車のみならず、マウンテンバイク、ロード、シクロクロスと幅広い車種を製作されているビルダー歴40年の村山司さんです。


“ケルビムでの修業時代”


飯島

ビルダーになられて40年だそうですが、ビルダーになられた動機をお聞かせください。

村山

高校3年生の春、あこがれの“ケルビム”の今野製作所(註-1)に押しかけて先代の今野 仁さんに「入れてください!」とお願いしたところ、すぐに採用を決めてくれました。

飯島

強引ですね。でもうれしかったでしょう?(笑)

Interview 「STRATOS 村山司」

村山

希望の世界に入れて、それも仁さんの下で働けるのですから、それはうれしかったです。でも実際に働き始めてびっくりしました。仁さんがいきなり私に言ったのは「名人の仕事をしなさい!」でした。高校出たてで純粋でしたから、何の疑問もなく、早く名人にならなくてはならないと真剣に思いました。師匠に「休み時間は休みなさい」と言われるほど、仕事はもちろんのこと練習にも明け暮れました。 当時、大量のフレームを作ったことで技量が飛躍的にのびました。

飯島

今野仁さんのもとで11年間修業されたそうですね。今野仁さんからは何を学びましたか?

村山

学んだというよりも材料である金属の加工方法を教えてもらいました。仁さんは金属工学を勉強されたこともあって金属の扱い方をよく話されました。フレームよりもパイプの話が多かったです。パイプの性質から始まってどのように加工したら、どのような形になるかといった話です。今でも新しい材料や金属に好奇心を持ちチャレンジ出来るのは今野仁さんのおかげです。

飯島

意外ですね。デザインより加工方法ですか?

Interview 「STRATOS 村山司」

村山

意外ではありません。デザインを形にするということは、この基本と言うべき金属の特性や、金属の扱い方を知りませんと形にできません。

飯島

他にはどのような思い出がありますか?

村山

一番の思い出はチネリが発表したレーザー(註-2)の原型になるショーモデルAXの製作を任されたことです、師匠の立案を形にする過程は、後々私に様々な加工方法や技術をもたらしてくれました。

註-1:今野製作所
今野仁氏によって1965年創業した日本の老舗フレーム製作工房。

註-2:レーザー
1984年にイタリアCinelli社にて製造された”Laser”。その造形は華麗な
空気力学的美しさをもっており、自転車デザインのマイルストンと称されている。