ヴィンテージバイクの祭典 “エロイカ”の意味するもの

2017.10.13 / iijima

IMG_1976
昨晩は六本木ミッドタウンにイタリアのヴィンテージバイクの祭典 “エロイカ”について日本自転車界でも著名なイタリア人Marco FAVARO氏の講演を聞きに行ってきました。講演の要旨は次の通りです。

“エロイカ”の意味するもの
最近、日本の自転車愛好家にも知られることになってきた“エロイカ”ですが、その認知度と言ったら“ヴィンテージ自転車マニアのレース”ではないでしょうか。かく言う、私も恥ずかしながらその程度の知識でした。

しかし、“エロイカ”は単なるヴィンテージ自転車のイベントではなく、その背景にはイタリアの抱える経済、精神性などの社会問題と、その処方箋を併せ持つ、広範囲にわたる“ルネサンス(再生)プロジェクト”であることがわかりました。
IMG_1979

“エロイカ”の歴史は意外と新しく1996年が初回だそうです。参加者はわずか96人。当時のイタリア自転車界はドーピングが問題化しており、また社会問題としての地方においては日本と同じく過疎化が進み、昔からある美しい街並みや家屋が荒廃し始めていました。

そんな中、自転車愛好家達が“美しい景観が無くなる前に走ろう!”、“ものを大切にしよう!”と思い、さらに“現代人は何か大切なものを失っているのではないか?昔の原点に戻ろう!”の精神のもとに“エロイカ”を始めました。
この精神はイタリア全土にとどまらず、海外にも広まり、今年の”エロイカ“の参加者は7,000人(半分が外国人)で応募者は70,000人と盛況に終わりました。

開催地はトスカーナの寒村で、人口は減る一方でしたが、このイベントが盛んになるにつれて、人口2千人の村の開催期間3日間の経済効果は約2億円にのぼり、人口も増加に反転しました。この成功見て、今ではイタリア全土で年間、約50の大きな自転車イベントが開催されるようになりました。

面白いのは、2012年にシエナ県議会が道路保護法で予算をつけたのですが、日本であれば砂利道を舗装する予算になるのが、ここでは砂利道の保全のための予算でした。これは“エロイカ”が何でも新しく便利な方法をあえて選ばず、1987年以前の古い自転車で、自分の力で走ることや、助け合いの精神を通じて人生の大切なものを再発見してもらうのが“エロイカ”の精神だそうです。この精神は、我々日本人にも通じるものがあると思いました。

今回の講演は内容も興味深い上に、わかりやすいでした。完璧な日本語の洒脱な語り口で講演されたMarcoFAVARO氏ならびに開催されたスルガ銀行ロードバイクプロジェクト様、ありがとうございました。